"公衆"と"個人"の両方を対象に―藤江俊彦教授「ブログ時代の新たな広報の概念と在り方」より

財団法人経済広報センターが発行する「経済広報」2月号の特集は「ウェブ2.0時代の広報」です。
この特集の中で、広報のオーソリティである千葉商科大学の藤江俊彦教授が「ブログ時代の新たな広報の概念と在り方」という文章を発表されています。
ウェブ、ブログといった類のものに関して詳しいほうではないと思われる(失礼!勝手なイメージです)藤江教授なのですが、この文章で示されている「新たな広報の概念」はなるほどと手を打ちたくなるほど明快であり、的確です。

要旨を挙げますと、

  1. ウェブ2.0は単なるメディアの技術的進化やチャンネル数の増加を指しているわけではない。

  2. ウェブ2.0は人々の環境認知の在り方に変化をもたらしており、広報の概念にも影響を及ぼしている。

  3. パブリックリレーションズの対象には"公衆"だけでなく"個人"も含まれるようになった。

  4. ブログ時代の広報においては企業は一方通行のイメージコントロールではなく、"個人"との対話を行わなければならない。

  5. ウェブ2.0時代の広報には"個人"とのコラボレーション型のリレーションづくりが求められる。


のようになるのですが、もうこれはまさに僕がいろんなところで言ってきたり、ブログで書いたりしてきたこと!
僕が常々考えていることを藤江教授のような偉い方も考えていたのかと思うとなんだか鼻が高い気分です。

この中で藤江教授が特に多くの分量を割いて解説しているのが3.なのですが、この部分はこのままでは少しわかりにくいかもしれませんので、ちょっと引用を。

米 国で使用されるようになったといわれる「パブリック・リレーションズ」は、公衆との関係づくりを原義としている。公衆概念は社会学的解釈によれば、マスメ ディアによるコミュニケーションによって、日常的生活空間に散在した人々が共通の情報と関心で結ばれていることを前提としている。パブリック・リレーショ ンズやパブリシティーが、近代マスメディアによるコミュニケーションを主たる活動にしたのは、社会における人々を"公衆"概念でとらえていたからである。


ふむふむなるほどー。
もともとのパブリックリレーションズの対象てのは「マスメディアを通した情報でつながっている人々="公衆"」だったのですね。
だから現在でもマスメディアリレーションズ活動がパブリックリレーションズの中で大きなウエイトを占めているわけなのですね。

ブログやSNSの拡大により、個人とPR主体である企業とが、直接メディアを通して会話・ディスカッションし、忌憚なく意見を述べる場ができた。


ここで言うメディアというのはブログやSNSのことなのですね。
これはよく言われることですね。

広報、パブリック・リレーションズが概念的変革を迫られているのは、すでにアナログのマスメディアによって意識された"公衆"だけが対象ではなく、常にブログなどのネットに参加・発言し、会話する自律的な個人も含まなければならないからである。


つまり、現代の広報、パブリックリレーションズにおいては"公衆"と"個人"の両方を対象にしなければならず、"公衆"リレーションズはマスメディアリレーションズ活動によって、"個人"リレーションズはインターネットメディアリレーションズ活動によって行いなさい、とこういうことですな。

これはまさにその通りですね。

現在のパブリックリレーションズ界はこの辺のことをごちゃごちゃにしてる感じがあるので、この辺で明確に切り分けるのもよいかもしれないですね。
対象によって手法を切りかえるというのは当たり前のことです。


...とまあここまでの藤江教授説の紹介だけで終わってしまってもよいのですが、最後にちょっと僕なりの補足を。

確かに、対象を"公衆"と"個人"に切り分け、そのそれぞれに対して異なったリレーションズ活動を行うというのは大切ですし、この考え方にけちをつけるつもりはないのですが、これにもうひとつ大切な視点を加えるべきだな、と思うわけです。

藤江教授説では"公衆"と"個人"とを明確に区別していますが、結局のところその実態は同じものだ、ということを忘れてはならないような気がします。
つまり、広報、パブリックリレーションズの対象である"社会の人々"はみな"公衆"と"個人"という2つの側面を持っている、ということです。

で すから、マスメディアリレーションズ活動を通して"公衆"との関係づくりを行う際にも、その"公衆"が"個人"の側面をもっていることを忘れてはならない ですし、インターネットメディアリレーションズ活動を通して"個人"との関係作りを行う際にも、"個人"が"公衆"としての側面を持っていることを忘れて はならないと思うのです。

ようするに僕が言いたいのは、対象を切り分け、手法を切り分けて整理することは大切だけど、マインドまで切り分けちゃダメでっせ、ということなのですけどね。
マスメディアリレーションズとインターネットメディアリレーションズを切り分けた結果、そのそれぞれでバラバラなメッセージを発信しているなんてのは愚の骨頂。
その両方の底に流れる、統合されたマインドが必要なのです。

なーんて偉そうに言ってますが、まとめてみると普通のことでした。失礼。

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