2012年3月のエントリー 一覧

僕がいるような伝統的なPR会社は大抵、「見出し」になるようなコミュニケーションキーワードを策定することを得意としています。
また、伝統的なPR会社のプランナーでなくとも、優秀なPRパーソンというのは大抵、「見出し」になるようなコミュニケーションキーワードについての感覚が研ぎ澄まされていると思います。

ただ、現代のPR戦略立案においてはこの研ぎ澄まされた感覚やスキルが仇になってしまうケースもあるので注意が必要、てのが今回のテーマです。

現代のPR戦略立案では、ウェブ上(など)のクチコミが考慮されていることが求められますが、ここにおいては「見出し」になるようなコミュニケーションキーワードの設定はまったく意味を持ちません。
経験から言えば、マスメディアで取り上げられやすいコミュニケーションキーワードはウェブ上のクチコミではまったく無視されるか、揶揄されて広まることのほうが多いような気がします。
ですから、特にウェブ中心で戦術を組み立てる場合、このようなコミュニケーションキーワードを中心に据えた時点で戦略全体が台無しになってしまう可能性があります。

マスメディアで取り上げられやすいようなキーワードには、例えば「○○離れ」とか「○○消費」とか「○○世代」があると思いますが、こういったキーワードがマスメディアを介さずに自然発生的にクチコミで広がった事例をご存知の方はいらっしゃらないんじゃないかと思います。僕も今まで見たことがありません。

伝統的なPRに慣れていれば慣れているほど、マスメディア受けする文脈が万能であるという錯覚をしてしまいがちで、「見出し」になるキーワードはウェブ上のクチコミでも通用すると思ってしまいがちです。
が、実際には見出しとして綺麗なキーワードが、そのままクチコミで自走するなんてことはまずありません。
そのようなキーワードを思いついたときこそ要注意でしょう。

売り手理論の研修はしない。

社内でやっているデジタルPRプランナー講座の修了課題の採点が終わりました。
あとは全社報告会をもって、この講座の第3期はすべて終了ということになります。
 
この講座は社内のデジタルPRプランニングの基礎力をあげるという目的ではじまりました。デジタルPRプランニングというとかなりぼんやりしていますが、実際の中身は、ウェブを中心とするデジタルコミュニケーション領域におけるコミュニケーション作法のようなものや、そこで支持されやすい、またはそうでない文脈が何であるかの習得というパートと、PRプランニング技術の習得のパートから成っています。
 
が、実際のところ、特に前半のデジタルコミュニケーション領域における作法や感覚については、従来の講義やワークショップのような手法で十分に身につけることはできないため、 「自分がわかっていないことに気づく」「どこがどうわからないのかに気づく」ことを目指す作業になります。
 
僕のいる会社はかなり大きなPR会社で、歴史もあり、デジタルコミュニケーション登場以前のPRに関する知見はかなり蓄積されています。
であるがゆえに 、デジタルコミュニケーション領域でのコミュニケーション作法や好まれやすい文脈も蓄積された知見の中で解釈しようという考えが根強くあります。
その結果、社内でデジタルPRについて、感覚レベルで習得している社員はごく少数で、多くが「わからないことがわからない」人か「わからないことだけはわかる」人という状況がうまれてしまっています(あと当然のことながら 「わかったつもりでいる」という人もそりゃいます(笑)。そりゃいますよ。)
 
この講座では、というよりも、世の中にある殆どの研修は、そういう状態にある人を「なにがわからないかはわかる」レベルに引き上げるということしかできないと思っています。そしてその前提のもと、そのとき受講者に足りない、 必要なことを順次潰していくという方法をとっています。
このやり方は研修プログラムをまわす方にとっては結構面倒くさいのですが、理想を言えばすべての社内研修はこうあったほうが良いと思っています。

言ってみれば、売り手理論の研修はしないということでしょうか。
もちろん、研修には目的があってしかるべきですし、目的に向かってプログラムを積み上げていくという作業は変わらないのですが、受講者がプログラムのレベルに合わせるべき、みたいなのは違うと思っています。

外部に広く開かれた研修の中には、全体最適を鑑み、このような考えで行われるのが仕方ないという場合もあると思います。
ただスモールグループの講座や社内研修の場合は、大まかな方向性を目的と定めながら、受講者のそのときの課題を解決していく柔軟なプログラムの組み方を行うべきでしょう。
私自身も経験があるのですが、プログラムの詳細のほうが先に決まっているタイプの研修で成果を出すのは結構難しいです。

第3期のこの講座の中では「押し付けではなく受け手の環境や事情を考えるべき」というのを何度か扱ったのですが、これはこの講座そのものが大切にしている思想だったりします。
 

大間違いのパブリシティの話。

パブリシティと、パブリシティプロモート先のメディアについて、巷間多くの誤解があるような気がしています。
(もちろん、そういう気がしているだけで、実際は誤解はないのかもしれませんし、逆に僕のほうが誤解しているのかもしれません)
その中でいちばん気になっているやつについて書きたいと思います。

パブリシティの最大の魅力は対象メディアが紡いできた文脈の歴史性の中で自社だったり自社製品を語ることができるという点です。
ここで大切なのは、「メディアが紡いできた"文脈"の歴史性」というところではないかと思います。決して「メディアそのものの歴史性」ではないと思います。
つまり、そのメディアが紡いできた"文脈"をまったく無視したパブリシティの獲得には本来の効果はないでしょうし、極論すると意味がないとさえ言えるかもしれません。
にも関わらず、そのメディアが紡いできた文脈の歴史性をまったく無視して自社が言いたいことを言いたいように言おう、というパブリシティが世の中には非常に多いように思います。
これが高じて、「自社が言いたいことを言いたいように言えたか(=そのメディアが紡いできた文脈の歴史性を無視できたか)」がパブリシティの成功の基準みたいなまぬけなことになっていたりすることも多いように思います。

そういうのは広告でやればよいわけで、わざわざパブリシティでやることに意味はありません。パブリシティの魅力や効果を損なうやり方だと思います。また、広告活動の意味も損なわせてしまう危険な方法だと思います。

伝えることに意味はなく、伝わることにこそ意味があることに気づいていれば、こういった誤解はなくなるはずなのですが。

デジタルPRプランナー講座第3期が終了しました。

社内で行っている「デジタルPRプランナー講座」の第3期が終了しました。

終了にあたり、10名の受講者の皆さんには「修了課題」というのをやっていただきました。
これは、あるクライアントのあるテーマについてオリエンテーションを行い、実際にウェブPRの企画書を書いてもらうというものなのですが、まさに十人十色というべきか、同じテーマにもかかわらずいろいろな切り口・コンセプトの企画書が集まりました。

採点は「ウェブの特性を踏まえているか」「戦略とアクションプランに一貫性があるか」「独自性があるか」「実現可能性があるか」「説得力があるか」の5項目について、10人の評価者が点数をつけ、その合計点で優劣を決めます。

さて誰のどんな企画書が最優秀賞ということになるのでしょうか。
楽しみです。

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